タイトル
解放と混沌から生まれるグルーヴ
著者 / 話者

INTERVIEW

ルールのないアーキテクチャ、
解放と混沌から生まれるグルーヴ

NEET株式会社プロジェクト運営委員会
若新雄純納富順一

働くことを必要としていない、ニートと呼ばれる人たちが立ち上げた「NEET株式会社」。全員ニート、全員取締役、全員呼び捨てというユニークな会社だ。
そんな会社組織とは正反対に位置すると思われるニートたちを「空中分解」すれすれでまとめ上げ、彼らの自律性を促す仕組みは何なのか。ニートという「進化するマイノリティ」たちが自ら主体となって新しい未来を造ろうとしている現場にはまたグルーヴが発生しているに違いない。

日時|2013.10.10 17:00~
場所|神保町某会議室


全員ニート、全員取締役の会社をつくる

編集部
170人のニート(就学、就労、職業訓練を受けていない若者)が集まって、全員が取締役の株式会社をつくるプロジェクト「NEET株式会社」の現場には、人を動かす「グルーヴ」があるに違いないと思っています。必ずしもコミュニケーション能力に長けた人ばかりではないニートの人たちを、どのようにまとめあげて前進させていくのか。
納富
グルーヴって言うと、なんだかかっこいいですね。内発的な動機を引き出すという意味では、それが集団で一定方向へ進んでいけば、それがグルーヴになる。
編集部
そうです、NEET株式会社を動かすグルーヴの謎に迫りたいんです。そもそも、どんなきっかけでプロジェクトが始まったのでしょうか?
若新
発端は、この企画のスポンサーになっている「中小企業共和国」というNPOがあるのですが、理事長をやっている安田佳生(元株式会社ワイキューブ社長)と僕が出会ったのが最初のきっかけでしょうか。二人で新しい働き方や組織のあり方についてディスカッションする中で、「働く必要のないニートをいきなり取締役にすれば、固定の人件費もかからないし、好きな事を好きなだけやれる会社ができるよね」という安田さんの話にビビッと来て。ニートというのは、働かなくても生活できているということだけじゃなくて、世の中の枠組みから外れて何かを試行錯誤している、マイノリティーとしての次の社会の到来を望んでいる人たちなんじゃないかとポジティブに捉え直す。かつ、取締役になることで、ニートを既存の社会に戻すのではなくて、彼らがいきなり主体になるということにすごい価値があるんじゃないかと。彼ら自身が彼ら独特の世界をつくって、新しいサービスが生まれるんじゃないかということを思いついたわけです。
この時点で重要だったのは、ニートが社会から仕事を受けることではなくて、完全に新しいものをつくるということ。僕らの人件費は全く出てないですけど、プロジェクトを実行するための広告費や会議室代や設立費用、全部で100万円をそのNPOに用意してもらいました。会費を出している経営者からすると「エーッ? 俺らが出した会費がニートの会社に使われるの?」みたいな話で(笑)。今、世の中が行き詰まっていて、ニートのほうが今までなかった新しいスタンダードをつくっていく可能性がある。ニートのほうが進化しているけど、少数派ゆえに今の日本社会ではすごく生きづらい。だから、マイノリティー同士がお互いに支援し合えるような場をつくる。そのような「実はニートこそカリスマだった、というような会社にするんだ!」という提案をNPOの会員たちにしたんですけど、みんな最初は「はぁ~?」という顔で(笑)。「ニートだって頑張れる」じゃなくて、ニートこそカリスマで、社会の枠組みに収まらない少数派の彼らこそ、新しい未来をつくるポテンシャルを持っている「進化するマイノリティー」なんです。
編集部
いったい何人ぐらいのニートのみなさんが集まったのでしょうか?
若新
最終的なエントリーが340人です。当初500人くらいだったのですが、本名を名乗ってくださいと言った瞬間に激減。僕らのやり方としては選考や選抜はせずに、すべて責任を本人たちに委ねるようにしていて。こっちが恣意的に先導しないように、敢えてプログラムをつくり込まない。一番はじめに、何の結論も出ないひたすらグダグダするだけのミーティングを開催して。すると、みんな学校教育で管理されることに慣れているので、「先生」のような存在が段取りしてプログラムを提供してくれないとやきもきするんですよ。
納富
イライラしたりね。
若新
そう。これに耐えられない人は辞めていきました。「何でちゃんとプログラムを用意して仕切ってくれないんだ!」と言われたら、「今回のプロジェクトは、みんなが取締役になるというプロジェクトで、みんながつくっていくんだから、こっちが全部用意するのは変じゃないですか?」みたいな話をして(笑)。みんなが僕のことをボロボロにディスるんですけど、僕は全く気にしない。彼らはひたすらディスるだけディスって「あれ? 何か違う」と気付く。
最終的に、約半分の170人くらいが残って会社設立することになりました。設立にあたって印鑑証明書が必要なのですが、親を説得できないとか、いろいろなハードルがあって。親を説得しようとして「誰なんだ、その企画をしている奴は?」となって、僕のことを言うと「誰だこの怪しい奴は?!」と。みんなから「若新さんがうさん臭いせいで」って意見が多発して。僕は「うさん臭くないことほど、うさん臭いことはない」と思うんですよね。それに、うさん臭くない人がやっている行政のサービスを使えばいいだけだし。
納富
彼らが動き出すという意味では、全く答えを用意しないというのが結構重要で。若新がずっとやっているのは、裏側ではある程度の計算もありますが、実際にはグダグダになるようにしている。本気の部分と、本当にグダグダな部分もあるけど、表には答えを見せないというかね。
若新
たとえもっと予算があったとしても、グダグダなまとまりのない時間をもともと設けるつもりでいました。グルーヴに繋がる話かもしれませんが、基本的に一番重要なテーマは、こっちで絵を描かないことです。信念は大事ですけれども、細かいところは操作してはいけないんですよ。結局、すべての若者向けのプロジェクトは、提供している大人たちが上から目線で、「こうなったらいいよね」という計画のもとに操作していくから、それ以上のものは生まれない。本当に賢い人は「これは茶番だ」って気付くので抜けていくんですよ。逆に、すごくグダグダでもどかしい空間をつくっていても骨のある人は絶対辞めない、不思議と。文句は言うんですけどね。
編集部
普通の会社でも常に受け身で仕事を行う人は「指示待ち人間」と呼ばれることもありますね。それがある意味、今の多数派なのかもしれません。
若新
そこを「ニートである君たちは、誰にも縛られずに生きていくんだろう?」と。再三それを言うんです。会社ができた後「若新、何か決めてくれ!」と言われてもそのとき僕には決定権がない。株を全員が平等に持つわけだから、今からみんなで決める練習をしておかないといけない。今は彼らの間ですごい衝突が起きています。でも最近はいい流れになってきて、お互いにディスりあって人格否定し合うことに疲れてきて「ああ、人格否定は何も生まない」って気付き始めてる(笑)。そのギリギリのところをこっちから見るというか。

ニートの組織論

編集部
まさにファシリテーションの仕事ですね、ニートたちがグルーヴを生み出す絶妙な環境をつくっているという。
若新
グルーヴって「お祭り」みたいなものですからね。お祭りは何が面白いのか? 自分で参加しているから面白いんですよ。結局、今って何か手触り感や自分が関わっているという感覚がすごい希薄なんで、いろんなものが。
編集部
まさにそうですね。僕らもお祭りを取材したし、三宅洋平さんの選挙フェスでも「勝手連」がいくつもできてみんなで選挙を盛り上げる。今そういう場に人が集まっているし、グルーヴが起きているんだなということを感じます。
若新
そうですね。ギリギリまでこっちでコントロールせずに、責任だけ取るし、大きな道筋はつけるぐらいにして。まず、彼ら自身の衝突というか、深い複雑なコミュニケーションを生み出すというか…。「このままだと空中分解します!」という苦情が来るんですよ。でも僕としては「まあ、分解と言っても、そもそも何もないじゃん。何が壊れるの?」みたいな(笑)。
編集部
会議以外の場で、参加者からの意見や相談を受けたり参加者同士が議論をするためのプラットフォームはあるのでしょうか?
若新
僕のフェイスブックや個人的な連絡先をみんな知っているので、意見が直接僕のところに集まります。参加者同士のプラットフォームとしては、生活保護受給者のメンバーが一晩でつくり上げたすごいSNSもあります。スキルはみんな高いので。そもそも日本の若者って、みんな軒並みいい教育を受けてきているので、スキルは高いし、資格も持っているし。大事なのは、それをもっと発揮しやすい場をつくること。たぶん人間の持っている能力の総量はそんなに変わらないと思うんです。ニートはその偏りがすごく強い人が多い。日本の社会って、偏っているとなかなか仕事しづらい仕組みになっていると思うんですよ。みんな平均的に何かをできなければいけなくて。例えばすごく頭がよくて、センスのいいコンセプトを考えて、デザインもできる、気配りもできる男の子がいるんですよ。でも、敬語が全くできなくて。全部タメ口なんです、常に、どんな人に対しても(笑)。多分就職はできません(笑)。僕は一切注意しないし、参加者の半分ぐらい僕たちに対してタメ口で、僕のことを呼び捨ての人もいるし。
納富
基本、みんな呼び捨てですよね。
若新
でも、別に何も問題ないじゃないですか。アメリカ人はみんな呼び捨てだし。だから、ズレを直すんじゃなくて、お互いに補完し合うことが重要で。集まっているニートを何者かに収束させるのではなくて、彼らがそのままで持っているポテンシャルや、可能性みたいなものをできるだけオープンなままにする。ニートをニートのままにしておいて、彼らが会社を設立して楽しそうに仕事をしていたら、他のサラリーマンたちがそれを見て「えっ、俺らの方がおかしいのかな?」みたいになったらいいと思うんですよ。
編集部
大きなメディアにもこれだけ取り上げられていますし、堅くて大きな組織の人たちほど、自分たちと真逆な人々としてNEET株式会社に一種の憧れを感じたり、希望を託しているのかもしれません。
若新
今は社会が成熟して共通の目標がない。マネジメントというものも根本的に見直さなければいけないというのが僕らの組織のあり方のベースにあるんです。じゃ、マネジメントしない、一方的に何かを提供しない教育って何なんだ? というのをずっと考えてきました。今までは労働者個人が必要なスキルを持って、人的資本を提供して、仕事の達成度をチェックして、達成度が高い人をまたリーダーにしていくやり方。そうではなく、今までにない何かをお互いに引き出し合うということこそが重要で、それが僕らの場づくりの前提にあります。僕は新しい人材育成の試みとして三つのキーワードを考えています。
一つはHCD(ヒューマン・キャピタル・ディベロップメント)。一般的にHRM(ヒューマン・リソース・マネジメント)、「人的資源管理」という言葉がよく使われますが、資源は使えば減っていくもの。この有限の人的資源をどれだけ上手に使い切るか、という考え方です。今後はそれを「資本」に変えていくべきだと。つまり、使えば使うほどその価値が上がっていく。どう管理するかではなくどれだけ開発するかということが大事なんです。二つ目は「キャリアストレッチ」。その人の持っているスキルを、一つの基準にフォーカスして上げていくのではなく、誰かとやんわり、いいかげんにつながることで、もっと何かいいものが生まれるかもしれない。だから、キャリアアップを目指すのではなく、どこに人の可能性が埋もれているか分からないので、できるだけ柔軟な場を提供する。三つ目が「マイノリティー・インテグレーション」。僕は世の中のマジョリティーと呼ばれているものは、より現実的で鈍感な人の集まりだと思っています。もっと敏感で絶えず空想している、いいかげんな人たちがいるけど、少数派だし、点在しいてまとまりがなくて、みんな不安だと思うんですよ。マイノリティーをマネジメントするんじゃなくて、社会のいろいろなものにそのままぶつけて、どっちが上でも下でもなく、対等に影響し合うような場にしましょうということ。NEET株式会社の場づくりはそういうポリシーでやっています。

ニートの会議論

編集部
今は会社設立に向けて準備しているフェーズだと思いますが、具体的にどのような事を話し合っているのでしょうか?
若新
今は、みんな印鑑証明書を取るのに苦労してます。最近やっと彼ら自身で「印鑑証明書を取るときはここを注意してください」と、お互いに教え合うようになってきました。会社設立のための勉強会も8月ぐらいからやっていますね。たまたまメンバーの中に行政書士が2人いたので、彼らを中心に勉強会のグループができて。「取締役になるリスク」などを勉強してもらって、定款の内容を最後にみんなで固めているところです。毎回ミーティングの時間が10時間を超えるんですよ(笑)。それでも、彼らは「時間が足りない」と。
全員が集まるのは月1回のペース。ミーティングにメディアの取材も来るのですが、みんなお構いなしに酒を飲みながらとか、床に寝ていたりしますからね。モンハン(モンスターハンター)をずっとやっている人も。その他にグループ毎にスカイプとかで毎日会議をしています、5時間くらいかけて。最後は変に盛り上がって、必ず夢を語る時間になって、そろそろ寝るかみたいな(笑)。彼らは時間の概念が普通の人と違うんですね。遊びと仕事の境目がないんです。最終的な登記は、外部の行政書士も交えてやっているので、そういう人を呼ぶと1時間くらいでミーティングが終わる。「じゃ、お疲れさまでした」となると、みんな何だかもの足りなさそうなんです、モジモジ…みたいな(笑)。もう終わっちゃったのミーティング? みたいな(笑)。
編集部
具体的なゴールとして会社を設立するということは分かりますが、そもそもメンバーのみなさんがこのプロジェクトに参加するモチベーションは何なのでしょうか? それはお金ではないでしょうし、家族を養わなければならないわけでもないでしょう。だとすると、仕事をして社会に認められたい、あるいは自己実現したいという欲求からこのプロジェクトに参加しているのでしょうか?
若新
仕事をしたいというよりは、何かしらエネルギーを発散というか発揮するというか、何か新しいものをつくりたいんじゃないでしょうか。僕の見立てとしては「なぜニートか?」というのは、既存の社会の枠組みに飽きていて暇で仕方ないから。正直退屈ですよね。何をしたって生きていけるぐらいに社会が豊かになったら、そういう人が必ず出てくると思うんですよ。別に親に仕送りする必要もないし、食べたいものを食べられるし、みんな携帯も持っているし。はっきり言って、稼いで豊かになるという社会のシステムの中ではやることなくなっちゃって、もっと違うものを生み出さないといけない、そういう危機感に駆られているんだと思いますね。もうつくるものもないし、売るものもないし、これ以上直すところもないのに、世の中のみんなは毎日無理やり働いているわけですから。今の日本の社会は、戦争が終わったのに銃撃の練習をしているみたいな、そういう状態だと思いますよ。
編集部
退屈さの先に創造性が生まれるというのは面白いですね。「食うために働く」という既存の経済が前提とする労働の概念から自由になって、歴史的にも生物学的にも新たな領域を切り拓いているような気さえします。ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)を地でいく人々というか。家で寝ていても食べていけるのに、自ら進んでプロジェクトに集まってくるニートのみなさんは、人としてすごくピュアな動機で動いている。そんなみなさんが集まって会議をする中で、何かが生まれる瞬間、グルーヴを生み出すトリガーのようなものはあるのでしょうか?

納富 それは難しいですね。何がトリガーになっているかというと、互いに衝突しまくって、その中で少しづつ何かが整理されてきて「ああっ見えた!」という瞬間がある。そういうものなんじゃないでしょうか。

若新
ニートのみんなも僕らと同じ人間なんで本質は変わらないですよ。企業の新規事業立ち上げなんかもそういう感じだと思います。彼らは旧来のルールでは遊びたくないだけなんです。違うルールでやれば何かに向かって動くというのはある。数学的に言えば、ベクトルが衝突している状態なのか、同じほうを向いて倍になっているのか、それだけの問題じゃないでしょうか。ベクトルが向き合っているときエネルギーは相殺されるけど、ポーンと同じ方向を向いた瞬間に盛り上がって何かが生まれる。通常、社会や組織の中では、最初からベクトルの向きを揃えさせられる。ニートの一人ひとりは多様なエネルギーを持っていて、それをぶつけてみる場がこのプロジェクトなんです。
納富
世の中全体、多くの人が抱えている問題と基本的には同じなんですよ。ただ、ニートは枠からはみ出さざるを得なかった人たち。だから何か新しいことをやるにはちょうどよかったのかもしれません。既存の仕組みに縛られてしまっている人はなかなか動けないし、彼らを促すよりは、もう既に枠組みから外れている人たちの価値を証明してしまった方が早い。

ニートのリーダー論

編集部
既存の会社組織はピラミッド構造で、そのトップにCEOや代表取締役がいます。しかし、100人が取締役で誰もがフラットなNEET会社という組織にリーダーは存在するのか? 株式会社として登記する以上、代表取締役が必要になるわけですが、そのポジションにはいったいどのような人がどのような役割を持って当たるのでしょうか?

若新 メンバーの中でリーダーをつくろうと何回か試みたんですが、リーダーを名乗る人物が現れると、みんな必死でその人の足を引っ張ろうとするんです。

納富 全力で足を引っ張る(笑)。

若新
結構経験豊かな人や頭のいい人もいるので、何人かがそのポジションにチャレンジしたのですが、その度に打ちのめされて、もう本人たちも疲れちゃって。今は、全く社会人経験がなく、大学へ行こうと浪人し、そのまま浪人もやめてニートになった二十歳の男性がそのリーダー的なポジションを渋々務めています。謝るのが得意なんですよ。ひたすら敬語で謝る。
納富
効率のいい既存のリーダーシップ論から出てくるやり方だと、ことごとく彼らの共感を得られない。リーダーの言うことは正しいけど、つまらないというか。最大公約数の意見を取りまとめて、効果を最大化するというのが今までのリーダーシップ。そこから外れた人たちの集団なので、普通のやり方をめちゃくちゃ嫌うんです。既存のリーダーシップがことごとく通用しない。なので、未経験の若者がリーダーをやっているというのは、ある意味必然といえば必然なんですよね。
編集部
会社設立にあたって、出資金はニートのみなさんで出し合うのでしょうか?  金銭感覚もメンバーそれぞれでしょうし、出資比率によってはメンバー間にヒエラルキーも生まれてしまいそうな気がしますが。
若新
出資金は全員で均等に出していただきます。幾らでもよくて、最低1円でも設立できるんですが、みんなで1万円ずつ出すべきだという人もいる。1円派と1万円派で骨肉の争いが起きていました(笑)。今は議論が棚上げされていますが、そろそろ決めないといけなくて。みんなの意見が決まらなかったら、僕のほうで平均値をとって提示しますとは言っているんですけど、みんながそこを話し合えるのか。
編集部
起業することが目的ならば、全員で1社のような面倒なやり方ではなくて、例えば100人で100社を起業することもできると思うのですが。
若新
将来的に彼らがそういう道を選んだら、そうなるかもしれないですが。例えば、1日でSNSをつくった前述のメンバーは、もうあり得ないぐらいスキル高いんですよ。でも、彼を個人として鍛えてもダメなんです。でも世の中の支援サービスは、彼個人を何とかしようとする。彼個人を頑張らせて一人で起業させるためには、外に向けて営業して、提案して、といったコミュニケーションを全部やれる能力を持たなければならない。でも、それができないことは本人も分かっているんです。しかし、それを補うメンバーがいれば、彼の価値は一気にプラスになる。個として育てるのではなくて、その関係や場の中で個を活かす、それが会社であることの価値です。
編集部
そうですね。そもそも会社の原則というか、存在理由はそこですよね。最近忘れられることも多い気がします。
若新
10月30日には、このプロジェクトでテンションが一番上がる「みんなで同時にハンコを押す会(発起人会)」があるんですよ。
納富
会社の定款に取締役全員の実印を押すのですが、通常だと冊子。でもそれじゃ100人以上のメンバー全員でハンコが押せないという話になって。それで巻物の定款を用意して、シュルシュルっと広げて。それを一人ひとり順番にハンコ押していくという…(笑)。ちゃんと役所にも確認してもらって、行政書士の先生にチェックしてもらいながら、みんなでハンコを押すんですよ。
編集部
巻物?! まさに前代未聞ですね。ところで、お二人をここまで動かすモチベーションは何なのでしょうか?
若新
僕は好奇心。納富さんとは人材育成のプロジェクトをやっていて、マイノリティーの価値を上げていく手法を…
納富
お金に変えていく。実際、今あるコンサルティングファームと一緒に、僕らの抽象的なビジョンや取り組みを標準化しているところです。これからの組織作りと人材育成の新たな仕組みをつくりたいんです。閉塞した組織を活性化させるソリューションとして大企業にもその仕組みを注入していく。
編集部
組織や社会が抱える課題は一緒なんですよね、それがニートであろうが、一般企業であろうが。NEET株式会社のような会社が日本にたくさんできれば、もっと社会にグルーヴが生まれる気がします。今日はグルーヴのあるお話、どうもありがとうございました!