タイトル
アンサイクロペディア|アイロニーの共起ネットワーク
著者 / 話者
『恋する芸術と科学』編集部

ウィキペディアのパロディ版、アンサイクロペディア。
その目的は風刺的視点のあるアイロニーとユーモアで溢れた虚言を提供することであり、
事実を描写しただけの本家を「ユーモア欠落症」の妄言であると断じてしまうパンクなソーシャル社会風刺サイト。
中でも”秀逸な記事”と呼ばれるものは、鋭い視点に関心したり、ひねた発想に爆笑してしまう傑作ばかり。

その秘密にせまるべく、通常は人の発言の裏に隠された関係性を発見するために用いられる「共起ネットワーク分析プログラム」を、アンサイクロペディアに使用。出現パターンの似通った語彙を線で結んだ共起関係図を描いてみると…その向こうに、正しくないけど面白い、アイロニカルな発想法が見えてきた!?


共起ネットワーク分析

テキスト分析のためのフリーソフトウェア「KH Coder」 を使用した分析手法。
記事中にある出現パターンの似通った語彙を線で結び、共起関係を線で表したネットワークを描いている。
大きな円ほど出現数の多い語であり、強い共起関係なほど太い線で描画され、青色から濃いピンクになるほど中心的な特徴語となっている。

KH Coder | Copyright©2001-2013 樋口耕一


君は牛を二頭持っている。

中心に「牛」というキーワードが存在し、「哲学」と「数学、証明」を結びつけている。
これはもともと文系学問内のものであったこの常套句を、数学的に記述するというアイデアがアイロニーの核になっていることを示している。
生みの親である文系の言葉遊びだったこのジョークに新しい展開を与えると同時に、文系の理解できないところまで高める秀逸な発想といえる。

この人痴漢です!

「魔法」が中心語としての役割を果たし、その周縁には「女性」「男性」「社会」「抹殺」という語彙が結ばれている。
「痴漢」が男性側に与えるダメージを「魔法」というメタファーに結びつけながら説く事で、その効果の絶大さを、RPG経験者であれば誰しもが直感的に理解できるものにしているところに発想の面白さが秘められている。

大学入試センター試験

「数学」「英語」などの試験科目を表す語彙群、「マークシート」「組合せ」「記入」の試験形式を表す語彙群に加え、
「購入」「配当」「予想」という宝くじ要素を表す語彙群が「時間」というキーワードによって結びつけられながらネットワークを形成している。
これは試験という存在が、限られた時間の中で、科目への理解度、試験形式への対応力が求める一方で、結局は運試しに宝くじを買う行為に似た様なものであるという、ある種の真理をもついている。

遊具基準法

中心語として「基準」「時代」「場合」「責任」の4つのキーワードが役割を果たしている。
架空の法律ではあるが、今の時代に対する明確な風刺的視点がスパイスとして効いている。リスクの可能性を考え過ぎて過度な安全基準を設け、「責任」を一方的に押し付ける時代。公布の時期がほんのちょっと先の未来に設定されているのも、このままいけば「遊具基準法」が施行されるのも時間の問題であるというアイロニカルなメッセージが伏してある。

エロ本隠し

「参戦」「能力」というキーワードを中心として、「エロ本隠し」のプレイヤーとなる人物や技に関する語彙が繋がっている。
「隠す」「見つけられる」という行為自体にゲーム性を見出し、そこで起こりうる事象をマンガ的な戦闘シーンのアクションに置き換えたからこそ、
納得させるだけの記事に止まらずに、新たな視点で事象を捉え直すことを可能にする。

Wikipedia

中心語である「記事」に、「編集」と同距離で「企業」という語彙が機能している。
その後ろには「宣伝」という語彙も。中立的な視点を標榜するにも関わらず、宣伝活動の役割としての機能をも担っているという事実に対して、それこそ中立性を完全に無視ししている。
アンサイクロペディアがアイロニーの矛先を向けることで、「中立性」を語ることの不毛さを感じさせる表現になっている。