タイトル
NEW JAPAN is BEAUTIFUL
著者 / 話者
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NEW JAPAN is BEAUTIFUL

謙虚なのか、恥じらいなのか。日本人はどうも、その価値を「海外」から認められないと、自分自身をほめられないという控えめな傾向があるようだ。思い出してみよう。たとえば、北野武映画に対して、1990年前後の撮り始め当初は、低評価というより、一部の熱狂シネフィルをのぞいては無関心に近かったが、ベネチア映画祭金獅子賞を獲った瞬間に、一転して国内は最高の評価に達する。村上隆美術に対する評価も、長年「オタク」というレッテルの中で、その高い技術力、コンセプトの割には、いたって低空飛行だったが、海外によるアートシーンでの評価がつき始めるやいなや、国内でも「オタク」から「現代美術の最高位」へと一気に火がついた。

高橋理子。義志。それぞれ、ジャパンビューティの軸を持ちながら 、世界のファッションとアートに対して本質的な提案をしつづけている新進気鋭の作家である。この世代には、グローバルセンスやブランドの物語性が、デフォルトで埋め込まれている。外国の市場や評価とも、リアルタイムでつながっていく。高い美意識をかかげ、縦横無尽にコラボレーションしていく。

現代における多くの作家群は、「JAPAN」という感覚こそが、実はもっともグローバルな可能性を持つことに気づいている。もはや海外における他力本願な解釈など待たずに、日本の伝統と未来を、世界にぶつけ続ける2人に世界中が注目している。

強い男の精神を着る

義志 YOSHIYUKI
武者袴#7
色:青
素材:綿
たたみ袴
色:藍
素材:綿

「宿っている」という表現がもっともふさわしいかもしれない。
道着や武道袴は造形だけでなく、体を通す者の精神をも問いかけてくる。

こういった武者にまつわる着物は、本来、正座して良し、立って良し、歩いて良し、もちろん戦って良しの裁断と立体構成から成り立っている。だからこそ着るだけで、みずからの生き方を問われているような気分になる。強くなるという表面的な錯覚ではなく、男は心技体が揃っていないとだめなんだという心地よい緊張感。

言葉ではない。流行とかデザイン性とかではない、日本古来からの美意識がまったく新しい体感技術で、再発見されている。

進化するから伝統

HIROCOLEDGE YUKATA
作家:高橋理子
Project portrait © Takahashi Hiroko

とにかく、かっこいい!
伝統を重んじる和の世界においても、七面倒くさい説明なしにそう感じられる世界、高橋理子

なぜ彼女の世界は、僕たちの感性に直球で入ってくるのか。それは、彼女の「JAPAN」が、伝統に「閉じていない」からではないだろうか。この和柄にはこういう歴史があるからいいんだよ、分かる?というような高尚な説明は、このすごさを感じるために必要ない。東京芸大博士課程に進学し伝統染織を学びながらも、常識を打破し新しい感性を投げ入れ続けることに迷いはない。

日本の染め、かたち、精神を、大胆不敵にアレンジしていく高橋理子の世界。単に、ファッションとか、アートとか、デザインとか、そういう枠組みにとどまらない潮流を世界に提示している。