タイトル
カレーにみる世界制作の方法

カレー 。
カレーと聞いただけで唾がどっと出る。
カレーと聞いただけで額に汗が湧き出る。
冒険。混沌。野生。歴史。栄枯盛衰。
その名詞をつぶやくだけで血湧き肉踊る。
ドキドキと鼓動が高鳴ってしまう。

カレーは、「まさか!?」の結晶体である。
そもそも甘いのに、辛いってなんだ!?
なんでうま味をかき消すほどの辛さが必要なんだ!?
冷静に考えると、何なんだこのルックス!?
スープなのか、具なのか!?
うまくて、保存にも最適で。体にもいいだと!?
しまいには、明日の朝の方がうまくなっちゃうし・・・。

これって、一体なんなんだ!?

カレーは、人類の生理と文明史のすべてをるつぼにして煮込んだ
史上最強の文明モジュールとも言えよう。
とどのつまりが、これまでの歴史のなかで、
カレーの魅力にあらがえた人類など一人もいないのだ。


古代~

古代エジプト時代、スパイスは食用・薬用として重宝。
宗教的儀式の香油としても活躍した。

無数のスパイスを使用したインド料理。
カレーの原型となるその食文化は、
なんと紀元前2300年後、インダス文明にさかのぼる。
すでにインド原産のスパイスの他に、
エジプトやメソポタミアとの交易によって
中東のスパイスも用いられていた。

紀元前300年頃、インド~東南アジアの交易開始。
インドネシア、モルッカ諸島原産の
クローブやナツメグなどが参加し、
インド料理の魅惑はますます多様に。

古代ギリシャ・ローマ時代になると、
「東洋の四大香辛料(胡椒、クローブ、ナツメグ、シナモン)」が、
海経由、陸経由で、どんどん地中海沿岸地方に流入。

東南アジアにインドのスパイス料理が伝来。
それぞれの伝統的な食文化と融合し、
独自の魅力を獲得していく。
その後のタイカレー、ベトナムカレーへの原型へ。
スリランカ、パキスタン、ミャンマー、カンボジア、インドネシアなど
アジア近隣各地のスパイス料理文化圏の原型にもなっている。

ヨーロッパの内陸部で人の移動が活性化。
肉や魚を長期保存するニーズが高まり、
スパイスの「腐敗防止」の効果が重宝された。

中世

コロンブスが西洋人として初めて、カリブ島で「唐辛子」を発見。
(彼自身は、胡椒だと勘違いしていた)
大航海時代の始まり!
16世紀、ポルトガル人によって、
外国の唐辛子がインドに上陸。
後のカレーに欠かせない「辛さの枢軸」となる。

16世紀、ムガル皇帝バーブルが北方からインドへ侵略。
その後、グルメな皇帝たちによって、インド料理が
美味絢爛な食事へと進化しはじめる。

スパイスを駆使したインド料理の数々を
東インド会社の英国人が”Curry”としてざっくり一括りに。
ここに「カレー」という、
この後の世界を席巻することになる概念が生まれる。

東インド会社の海路と、シルクロードの陸路の活発化により
人類が大量に移動し、互いの文明を影響させ合う時代へ。
スパイス料理文化も同時に広がっていく。

多様かつ複雑なインドのスパイスリストを
英国人が「カレー粉」としてモジュール化。
一気に、世界に波及しやすい形に。

保存・美味・医食同源にすぐれるカレー。
最強の食文化モジュールが、世界中に伝染していく。

近代~現代

1919年のインド解放以降、
世界中に散らばったインド人移民の手によって、
インド料理はその土地の食文化と混ざりながら、
世界中でさまざまな進化を遂げる。

タイカレー・インドネシアカレーや、日本カレーライス。
さらにフランスオマールカレーや英国カレーなど
各国ならではの具材と食文化を取り組んだ、独自のカレーに発展。

今やカレーは日本における国民食へ。
子供向けはちみつ系から、おふくろ系、インド本格系、
タイ系、シーフード系、高級ホテル系、カレーパンまで、
もっとも愛される食文化の一つになった。


カレー原料原産地

  • 胡椒:インド、ジャワ
  • クローブ:モルッカ
  • ナツメグ:モルッカ
  • シナモン:スリランカ
  • 唐辛子:ブラジル、メキシコ
  • クミン:エジプト・トルコ
  • サフラン:カシミール・イラン・トルコ
  • カルダモン:スリランカ、東南アジア
  • コリアンダー:インド・ヨーロッパ
  • カイエンヌ:東南アジア
  • ターメリック:インド・中国・バングラデシュ・東南アジア
  • ミョウガ:東南アジア
  • 八角:インドネシア・マレーシア
  • タイム・パセリ・ディル・ローズマリー・ペパーミント等:ヨーロッパ一帯
  • パプリカ :ドミニカ
  • オールスパイス:ジャマイカ

カレーの誘惑に屈しなかった者などいないのだ。

何でもカレー粉を入れればカレーになってしまうが、
カレーに何を入れてもカレーのままである。

さぁ、世界を召し上がれ。

カレーを食べている間、私は世界とひとつになる。

カレーは記憶を引きずり出す。

身体に良いウイルス。

カレーからすれば、帝国主義は乗り物でしかない。

カレーは旅だ。

カレーの旅は終わらない。

カレーという食べ物には、旅する遺伝子が含まれている。

インド人はゼロの概念とカレーを生み出した。

インドで生まれたカレーが宇宙食になったのは、
必然だったのかもしれない。

地球にはカレーがある。

カレーがある世界に生まれて良かった。

あらゆる穀物と結婚した数少ない食べもの。

カレーに唐辛子を加える迄に、
何人の航海士が命を落としただろう。

恐るべき情報量が詰まった一皿。

人類が滅んでもカレーは生き続けるだろう。

5000年、淘汰されなかった食べ物。
あるいはすべてを淘汰した食べ物。

大体の食材はカレーになり得る。

「カレーだけで3食7日イケる」のは故なきことではない。
それは元々、無数のインド料理の総称なのだ

歴史を食すのだ。世界史を食すのだ。
カレーを食べることは、世界史を食べることだ。

世界史を無心でかき込め。

たとえインドがなくなってもカレーは残るだろう。

文明のごった煮、ご飯かけ。

ソフトでもあり、ハードでもある。

5000年の時に寝かされて
カレーはここまで美味くなった。

5000年もの間食べられ続けているメニューが
他にあるだろうか?

過去のどんな大帝国よりも、
カレーは世界を征服している。

カレーほど激しい植民地主義をとったものはない。

取りあえずカレーにしとけば間違いない。

人類はカレーの前にひれ伏す。

カレーには屈した方がいい。

カレーは正義。

東洋が生み育て、西洋が世界に広めた。

宇宙とはカレーである。

世界はカレーのようなものである。

どんな時でもカレーは美味い。

カレーは裏切らない。

魔食。

その匂いが脳を侵食する

脳を支配される快感。
カレーの匂いは瞬時に脳を支配するウイルスだ。

僕らのカレーの原体験は
僕らの生まれる前にある。

世界精神とは即ちカレーである。

恋よりカレーだ。

インド人もびっくり。

脳を麻痺させる。

熱病のような覚醒。

食べた瞬間、僕らを何処かに連れて行く。
カレーは意識の乗り物だ。

意識を根こそぎ何処かへ連れていく。
それがカレーだ。

旅が生んだ食べ物カレーは、
食べる者の意識を否応なく何処かへ連れていく。

旅する食べものカレーは、
僕らの意識をどこかにさらっていく。

意識の誘拐犯

カレーはメディアだ。

我々はカレーに支配されている。

ああ、あの時の味だ。

すりおろしリンゴを入れるのが
我が家の流儀だった

5000年前から、家族の数だけ
カレーの流儀がある。

インダス文明の時代から、
おふくろの数だけ味がある。

3日目が至高。

夕暮れに友達の家から漂うカレーの匂い
どうしてこんなに切ないんだろう。

幼い頃に食べたカレーは、
今も記憶に ”しみ” を残している。

誰もが「あの時のカレー」を持っている。

カレーは細胞に語りかける。

人類のDNAは、
既にカレーに浸食されている。

バーブルもエリザベスも、
カレーの前にはひれ伏すしかないはずだ。

人間は、カレーを、知ってしまった。

視覚と嗅覚が味覚を刺激している。

気づいたらカレーのことばかり考えていた。

どこからかカレーの匂いがする。

禁断の果実のあとはカレーだった。

「うまい」とは、こういうことだ。

麻痺する快楽

香りと辛さが人を挑発する。

脳が、唾を出せと言っている。

だめだ!
カレーのことしか考えられない。

完全食

その一皿に世界が詰まっている。

生まれながらの多国籍料理

今から10秒間、
カレーのことを
イメージしてください。

カレーは増殖しつづける。

カレーは、
記憶にも、
しみを残す。