タイトル
自然が最高の工場だって気づいたんだ

Veta La Palma Fish Farm スペイン

長さ:32km(池)+297km(河川)
広さ:110㎢(池)
設計:1982年
© Veta La Palma Fish Farm

もしも東京の山手線内の面積が今よりも2倍近く広くて、そこをすべて魚の養殖場にするとしたら、と考えてみて欲しい。
スペインのグアダルキビール川の湿原の中心部に28,000エーカーを占めるVeta la Palmaは、そんな壮大な養魚場だ。
18世紀までは豊かな湿地帯だった土地が、長い時間の流れの中で「水田」と「畜産場」として使われるようになっていた。ところが1982年、その土地を水産会社が買い上げ、アンダルシア地方の行政認可の下、湿地帯を含む広大な養魚場につくり直したのだ。
美味い食べ物を作る工場を作るのではなく、美味い魚を育ててくれる「生態系自体」を作り上げる。
河口近くの養魚場エリアでは、膨大な数の養魚と、その餌となる更に膨大な数の小魚やエビ、微生物のために、栄養豊富な水が海から流れ込んでは出てゆく。
湿地帯の元々のビオトープを保全するためにメンテナンスが続けられている。そこには多くの水鳥が水田や湿地に住む微生物を食べにやってくる。水面には藻がびっしり。生態系が機能している証拠だ。普通の養殖場のように魚の餌をやる必要すらない完全自律のエコシステムを、人間が計画的に作り上げてしまった。
これからのモノヅクリは自然との関係を作るということなのかもしれない。