タイトル
単純運動の連鎖が複雑さをつくる、風のいきもの
著者 / 話者
テオ・ヤンセン

単純運動の連鎖が複雑さをつくる、風のいきもの

テオ・ヤンセン
STRANDBEEST「アニマリス・モデュラリウス」
セレブラム期(第8世代)
体高:3.7m
体長:12.0m
体重:160kg
脚:36本

これ、生きてるの?!
浜辺を歩くストランドビーストを見れば、誰もがそう思うに違いない。
物理学者でありアーティストでもあるテオ・ヤンセン氏は、1989年に新聞の文化コラムで、砂浜に生息して自然の力だけで生命を維持し、砂浜を守る生命体の物語を書いた。それから1年後、物語を実現させようと、身近で安価なケーブル埋設用のチューブ廃材を骨格に、風を動力源にして動くストランドビーストを作り出した。その後ビーストは進化を繰り返し、「セレブラム期」と呼ばれる第8世代のビーストは、羽で受けた風力を圧縮空気に変えて動力にし、嵐が来れば砂浜に杭を打ち込んで体を固定することができるようになった。しかも電気は一切使わずに。
ビーストの全ての動きは、誰もが学校で習ったことのあるシンプルな円運動とピストン運動が基本になっている。一本一本の脚の動きは単純だが、それがいくつも絶妙なタイミングでリンクし、風という非連続な自然現象を動力にすることで、まるで生き物のような複雑さをもって動きだす。この原理自体がまるで生物の本質を言い当てているようで、ビーストと人間を分けるものはなんだろうと考えずにはいられない。