タイトル
思い出という心の器
著者 / 話者
瀬川辰馬

思い出という心の器

「iPhoneを砕いた粉末で色づけた陶器 珊瑚を砕いた粉末で色づけた陶器」
材料: A = iPhone4 / B = 珊瑚
作家:瀬川辰馬

割れてしまったiPhone。くだけてしまった珊瑚。これらからは、使われていたときよりも、もっと深い想像力が立ち上がってくるのはなぜだろう。モノに対する愛着は、モノが壊れたとき、取り返しが付かないことをしたという感覚とともに、一番強く感じられる。

瀬川辰馬氏の陶器シリーズは、愛着のある素材を選び、器を彩る釉薬の原料にする。陶芸という、炎と窯と土と釉薬からなるプロセスでは、壊れたiPhoneや珊瑚のみならず、たいていの「もの」は、すべてミネラルとして扱い、釉薬の原料にできるのだ。

思い出で、お茶を飲む。

窯という分子加速装置によって、土とともに変化し固着した素材は、器として使用されながら、再び愛着というモノガタリを使用者とともに、つむいでいく。