タイトル
耽美的なモノヅクリからしか、耽美的な文化は生まれない
著者 / 話者
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耽美的なモノヅクリからしか、耽美的な文化は生まれない

カナダのピアノメーカーHeintzman社のアップライトピアノ
写真家Todd McLellanによる“Things Come Apart” Projectより
製造年:1912年頃
部品数:1,842
Photo in courtesy of Heintzman Pianos Ltd. (Concord, Ontario, Canada Technical Service Mgr Michael Chau)

耽美(たんび)とはなにか。わたしたちは、なにに感動したいのか。

ピアノの前に静かに座るピアニスト。背筋がのびながらも、肩にはまったく力が入っていない。鍵盤に吸い寄せられるように、そっと置かれる10本の指。壮大なモノガタリが演奏される前の、瞬間の静寂を破るように、一気に演奏が始まる。時空が歪む。これは旅なのか、瞑想なのか。小説なのか。

美しい道具は、美しい物語を生む。なぜなら美しい道具は、美しい演奏者を生むから。部品数にして数千点とも言われるピアノ。鍵盤から伝わる弦の振動だけではなく、鍵盤が底にあたる音、部品が連動する音、様々な打音全てが伝わり、ピアノフレーム内で震え上がって、ひとつの感動が生まれるのである。